風車の国オランダと周南市
オランダは風車の国として知られていますが、そのオランダに初めて風車が姿を現したのは13世紀で、最初は産業の原動力として利用され、主に粉ひき用に使われていました。15世紀になると、水害を防ぐための排水用と干拓用として、各地で利用されるようになり、19世紀にはオランダ全土で9000基を数えるまでになりましたが、現在では、約1000基に減少し、オランダ政府も保護文化財として、風車の保存に努めています。
このオランダを象徴する風車が、平成7年3月に永源山公園山頂に姿を現し、同年8月にオープンしました。これは、旧新南陽市が平成2年5月22日にオランダ国のデルフザイル市(現エームスデルタ市)と姉妹都市提携を行い、以後様々な友好交流を進めるなかで、国際交流の「場」と「機会」を提供すると共に地域活性化を図るため、建設したものです。
風車の名前は、全国公募の結果、「ゆめ風車」と決定しました。
この「ゆめ風車」は、姉妹都市デルフザイル市(現エームスデルタ市)に実際にある風車「AEOLUS(エオリス)」をモデルに建設し、実際に粉をひける本格的な八角形のバルコニー付きの風車で、大きさは、高さ24m、羽根の直径24.66mの日本最大規模を誇ります。バルコニー付きのなかでは古いタイプの風車です。
国際化が進むなかで、「ゆめ風車」の誕生は、姉妹都市デルフザイル市(現エームスデルタ市)との友好交流そして周南市のシンボルともなっています。
姉妹都市デルフザイル
オランダ・デルフザイル市は、北海に面した北オランダの最も大きな港湾都市であり、また化学工業都市です。市名の由来は14世紀頃デルフ川にあった水門(ザイル)という意味です。
2021年、デルフザイル市は近隣自治体と合併して、エームスデルタ市になりました。
エームスデルタという名称は、ユネスコ世界遺産「ワッデン海」の一部でもあるエームス川河口に隣接する街の地理的特性を表しており、市民の投票により選ばれたそうです。
オランダ風車の種類
スタンデルト風車
スタンデルト風車は、オランダで一番古いタイプの風車で、1200年頃には既に粉ひき用として使われていました。
四角い風車小屋が、太い垂直の柱の上に建っており、この柱を中心として、風の吹く方向に風車の羽根を向けることができます。デルフザイル市のあるフローニンゲン州でも、見ることができます
グランドセイラー
グランドセイラーは、地上に直接建てられ、周囲に風を防げるものが少ないところにつくられます。
その容姿が修道僧に似ていることからか、オランダのフリースランド州では、干拓用のグランドセイラーが”修道僧風車”と呼ばれているのをよく耳にします。
バルコニー風車
バルコニー風車は、市街地などで風車の周囲に風を妨げる建物など高いものがある場合、風車の背をできるだけ高くし、風を障害なくうけられるようにしたものです。
この風車には、バルコニーを設置し、その上で風車の羽根に帆を張ったり、風の吹く方向に羽根を向けたり、ブレーキを操作するなどの作業を行います。
周南市の「ゆめ風車」は、このタイプです。